親子について

f:id:anzudou:20210313093844j:plain長い間立春は2月4日と決まっていると思っていましたが、今年は3日が立春で豆まきは2日になるそうです。
さて、今回は「親子について」です。親が人格者で、大人になるまで目標となる背中を見せて導いてくれたら・・・どんなに素晴らしいか。ところがほとんどそうはいきません。しかし悲観することはないようです。なぜなら世界の名だたる偉人たちが次のような言葉を残しています。たとえば五木寛之著「人間の覚悟」のなかには[キリストにも親鸞にも通じるのは、父母や兄弟などの肉親の関わりに過大な価値をみいださなかったことです・・]また、教育関係の勉強をした人なら必ず知っているコメニウスも次のように言ったそうです。「子どもにとって両親の死が悪い結果になるより、良い結果になることがある。」
毒親なんて言葉もあります。しかし多くの人にとって容易に断ちきれない縁だからこそ苦しく、それは人間の有り様そのものといえますが・・・。
最近読んだ本、小川糸著「針と糸」のなかで母と娘のこじれた関係が克明に綴られていて、深く考えさせられました。作者は母親の死後に関係が丸くなったそうです。
モンテッソーリメソッドで有名なモンテッソーリは30年の研究の結果わかったこととして「一般に子どもは無理解な両親や社会に強いられて正常な発達からそらされる者だということ」と記した。またモンテッソーリが生まれる少し前の江戸時代の日本の様子を記した書物のなかには、庶民家庭の有り様について「庶民家庭の多くが、礼儀や人倫を教えない捨て育ての状態であり、その結果子どもは気随、気儘となりやがて放蕩に流れて身も修まらず、親不孝、夫婦不和、兄弟不和、家職怠慢、一家衰運の道を歩む者多し」とあります。

子どもに必要なのは血のつながった両親よりも良質な教育環境である。と言えそうです。
そして現在の日本に最も欠けているのは、暮らしのなかでゆったりと自然の営みに触れることができ、倫理観を育むことができる環境ではないでしょうか。

倫理観を育む環境・・・。どうしたら実現できるのでしょうね。

*参考資料
相馬伸一著「ヨハネス・コメニウス汎知学の光」
小泉吉永著「江戸の子育て読本」