明治18年生まれの男もこんなふうに考えていた!名作「隅田川」より

私はこれまで明治生まれの男性はみんな封建的な人間だと思ってきた。

ところがなんと珍しく日本文学を読んでその固定観念を改めなくてはならなくなった。

芝木好子の「隅田川」のなかに次のような一文がある。

それは明治18年生まれで浅草でばりばり仕事をこなし、社交的で精力的な父が脳溢血で倒れたのち、18歳の娘恭子に語った言葉である。

【女はみんな嫁にいって子どもを生む。あんまり誰も彼もやりすぎるよ。恭ちゃんまでおなじことをしてもつまらないじゃないか。嫁にゆくことはない、家で威張っておいで。そのほうがどんなにいいかしれないから】

人生を精力的に生きてきた男の言葉である。世間の一般論でもなく、率直な人生観なんだと思う。父は物語ではこのあとほどなくして48歳の生涯を閉じる。

 

時を経た令和5年の春も、女性がどう生きるかはもちろん個々人の境遇によって様々で、1つの理想があるわけではない。しかし確実なことは明治・大正・昭和・平成・令和というどんな時代でも家の経済状態と戦争の有無が庶民の人生を大きく変えてしまうことだろう。

そう考えればこれからは専業主婦を長くやることだけはおすすめできないなぁ。

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